ENEOSの内部通報制度をめぐる訴訟について
本サイトの
問題提起
本サイトで問題提起をするのは、通報を受けてからの会社の対応です。通報の後、通報者は通報内容に関する情報から遮断されました。そのうえで、裏づけの確認できない情報を知らされました。なお、私は社内通報窓口を利用した従業員で、本文では「通報者」とも記します。
通報したのは「支払う必要のない海外消費税を払っている」という問題でした。ところが、回答の際の調査事項は曖昧で、調査結果の対象も判然としませんでした。肝心の海外消費税を支払う必要があるか否かは、調査結果として示されませんでした。
その後、「法改正があったため」と通報者に知らせ、海外子会社が「本社の代わりに返金を受けた」として本社に送金しました。しかし、その「法改正」は未だに特定できず、海外子会社が返金を受けた事実も確認できません。
ENEOSに海外消費税を支払う義務がなかったにもかかわらず、海外消費税を支払っている旨の通報を受けた後、「海外企業がENEOSへ海外消費税を請求できる」形へ契約変更しました。この措置は通報者に知らされませんでした。
裁判所の判断 通報を受けた後の契約変更について、「通報を受けて講じた是正措置を通報者に通知しなかったこと」が裁判の争点です。裁判所は、契約書に海外消費税の定めはなかったものの、ENEOSは取引先と「海外消費税を支払う合意」をしていたと推認し、合意がある以上海外消費税の支払は契約違反ではない、と判断しました。違反そのものがなければ、通報者に伝えるべき「違反への是正措置」もない ── そう判断し、通知しなかったことを問題にする主張を退けました。
裏づけが
確認できない
3つの情報
裁判で敗訴はしました。けれども、裁判を通じて、ENEOSが、海外消費税の支払いについて「法改正があったため」としたこと、および、「海外子会社が本社の代わりに海外消費税の返金を受けた」と通報者に知らせていた事実が、明確になりました。
会社は通報者に、「法改正があったため」と知らせました。
── しかし、その「法改正」が、いつの・どの法律なのか、未だに特定されていません。(通報者が探しても、見つかりませんでした。)
会社は通報者に、「海外子会社が本社の代わりに海外消費税の返金を受けた」ことを解決策として示しました。
── しかし、記録として確認できるのは「海外子会社から本社への送金」だけで、「海外子会社が外部から実際に回収した」ことを示す記録は見つかりません。
会社は通報者に、「経理部およびコンサルティング会社と相談し」たことを対応の根拠として示しました。
── しかし、何を相談し、どう回答を得たのかは記録に示されておらず、「違反ではない」という結論だけが伝えられました。
こんなことも!? 海外消費税の支払いについて、裁判所は「合意による支払い」と推認を示しました。なお、ENEOS側からは、その「合意」の記録は示されておらず、「記録のない合意」となります。つまり、ENEOSは海外消費税を記録されない合意に基づいて支払っていたことになります。── 「日本企業に支払義務のない海外消費税を、記録されない合意に基づいて支払う」 これ自体が、企業の内部統制として問題です。
再通報と
新たな問題
解決策とされた海外子会社から本社への送金について、私は改めて通報しました。不正な送金が疑われるからです。しかし、会社は通報者に『解決済み』と伝えるだけで、不正の有無がどちらなのかすら、判然としないままでした。
公益通報者保護法の指針は、調査結果を通報者に通知することを求めていますが、『解決済み』として調査を省くなら、その判断は「可能な限り客観的に」行うこと、新たな疑いの再通報であれば本当に解決済みかを慎重に検討すること、とされています。
しかも、宮田社長は、元社長の不祥事を引き合いに、「コンプライアンスの再徹底」を掲げて、社員に内部通報制度の利用を促していました。本件の再通報は、その呼びかけに応じたものです。
社内外に掲げた「コンプライアンスの再徹底」
── この表明が本物なのかどうか、問われる事態です。