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セグメント分析 ― 連結に埋もれた「強い事業」を発進力スコアで探す

セグメント発進力

「PER 20 倍、ROE 10% ― この会社は割高で高収益」。こうした全社平均では、裏でどの事業が伸び、どの事業が縮んでいるか までは見えません。

本記事では、XBRLをJSON化した自前パイプライン で決算を 事業セグメント別 に分解し、「次の主力事業」と「隠れた高収益事業」を発掘します。

データ出典
TDnet:決算短信XBRLのセグメント情報 634件(400銘柄)
分析対象:233銘柄 × 787セグメント(前期比成長率は2年分の時系列)

セグメント分析とは ― 企業合算に埋もれた事業別の伸び・利益率を分解する

PEG・ROE・アクルーアル・予想検証は、すべて 企業合算 の指標で、その内訳までは見えません。総合電機や商社のような複合企業ほど、決算短信XBRLの セグメント別 分解の価値は大きくなります。

セグメント発進力スコア = 直近 1 年の成長率 ÷ 過去 5 年平均CAGR ― 事業の加速/減速を測る指標
発進力スコア 判定
≥ 1.5 加速中
0.7 〜 1.5 横ばい
≤ 0.7 減速中

ただし決算短信XBRLは 時系列が 2 年分 しかないので、本記事は上の 5 年版スコアではなく、前期比成長率の大小で「加速/減速」を見ます。5〜7 年のトレンドは過去まで遡れる有報XBRLで取れますが、有報のセグメント読み取りは整備中(筆者の今後の課題)。今回の対象は、短信でセグメントが取れた 233 銘柄 × 787 セグメントです。

⚠️ ENEOSは後編(2-6 コングロマリット)用に追加取得して 5 セグメントを分析。出光 / コスモエネHDは同期未取得のため対象外です。


セグメント分解で「収益構造」を見る

ここからは、決算短信で 2 年分が取れた全 233 銘柄 × 787 セグメントを俯瞰します。前期比成長率と営業利益率の 2 つの切り口で見ていきます。

セグメント前期比成長率(加速 / 減速 Top10)

前期比成長率(売上 100 億円以上)の大きい順・小さい順に並べます。

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使用データ
TDnet(決算短信XBRL):セグメント情報(直近2期=前期比、233銘柄×787セグメントのうち当期売上100億円以上)
対象:会計年度末が直近のもの(主に2026年3月期、一部1〜2月期末を含む)

加速・減速 Top10

加速 Top10

銘柄 セグメント 売上前期比 当期売上
大東建託(1878) 不動産開発事業 +186.5% 1,471 億
SBI GAM(4765) アセットマネジメント事業 +170.0% 263 億
エムスリー(2413) ペイシェントソリューション +159.5% 569 億
丸紅(8002) 次世代事業開発 +127.2% 1,824 億
CCIグループ(7381) 銀行業 +100.5% 1,518 億
ホシデン(6804) 機構部品 +94.9% 4,143 億
SBI HD(8473) 次世代事業 +83.2% 562 億
エスコン(8892) 不動産開発事業 +83.0% 520 億
双日(2768) エネルギー・ヘルスケア +78.9% 3,485 億
NECキャピタル(8793) エネルギー・インベストメント事業 +76.8% 243 億

減速 Worst10

銘柄 セグメント 売上前期比 当期売上
丸紅(8002) 金融・リース・不動産 −54.7% 246 億
セブン&アイ(3382) スーパーストア事業 −51.9% 6,876 億
セブン&アイ その他(Other) −47.4% 1,512 億
東京電力(9501) リニューアブルパワー −42.0% 515 億
SGHD(9143) 不動産事業 −35.6% 154 億
セブン&アイ 金融関連事業 −34.4% 1,218 億
南海電鉄(9044) 建設業 −25.4% 304 億
積水化成品(4228) インダストリー分野 −25.0% 615 億
三菱倉庫(9301) 不動産事業 −24.6% 354 億
イオンFS(8570) ソリューション −22.4% 928 億
  • 加速トップは大東建託 不動産開発 +186.5%(1,471 億)。注目は 丸紅 次世代事業 +127% と 双日 エネ・ヘルスケア +78.9% ― 利益の質・予想の信頼性が確認された商社が、セグメントでも新規事業で伸びている
  • だが 丸紅は同時に「金融・リース・不動産」が −54.7% で減速ワースト1 ― 次世代 +127% × 既存金融 −55% という二極化は、事業転換期の典型。セグメントに分けて初めて見える
  • 最も衝撃的なのは セブン&アイ スーパーストア −51.9%(6,876 億)― 大規模再編(イトーヨーカ堂の分離など)の影響とみられ、企業合算では見えない構造変化が一発で表に出た

高営業利益率セグメント(隠れた寡占ビジネス)

今度は売上 200 億円以上のセグメントを、営業利益率の高い順に並べます。並ぶのは、全社平均ではならされて見えなくなる「隠れた高収益事業」です。

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使用データ
TDnet(決算短信XBRL):セグメント情報(直近期の営業利益率、当期売上200億円以上)
対象:会計年度末が直近のもの(主に2026年3月期、一部1〜2月期末を含む)

高利益率セグメント Top15

銘柄 セグメント 営業利益率 売上 営利
マキタ(6586) アジア 88.4% 343 億 304 億
オービック(4684) システムサポート 74.0% 715 億 529 億
オービック(4684) システムインテグレーション 59.7% 553 億 330 億
カカクコム(2371) 食べログ事業 55.2% 402 億 222 億
大阪瓦斯(9532) 海外エネルギー 53.3% 1,270 億 677 億
カカクコム(2371) 価格.com事業 53.1% 236 億 125 億
アドバンテスト(6857) テストシステム事業 50.9% 10,194 億 5,188 億
野村総研(4307) IT基盤サービス 50.1% 770 億 386 億
東海旅客鉄道(9022) 運輸業 46.7% 16,417 億 7,675 億
竹内製作所(6432) 日本 46.2% 678 億 314 億
  • アドバンテスト テストシステム:売上 1.02 兆円 × 利益率 50.9% = 営業利益 5,188 億円 ― 半導体テスター世界トップの利益構造。企業合算のROEでは平均化され、「1 兆円規模を利益率 50% で運営」という事実は見えない
  • 東海旅客鉄道 運輸業 46.7% / 売上 1.64 兆円 ― 新幹線という社会インフラの利益構造が数字に
  • カカクコム 食べログ 55.2% / 価格.com 53.1%(広告の規模の経済)、オービック システムサポート 74.0%(基幹システムは一度入れると替えにくい)、マキタ アジア 88.4% ― いずれも業界での強い地位が利益率に表れている

まとめ

  • 企業合算ではなく 事業セグメント別 に分解 ― 決算短信XBRL→JSONで 233 銘柄 × 787 セグメント の前期比成長率を計算(有報セグメントの読み取りは今後対応)
  • 加速 Top:大東建託 不動産開発 +186.5% / 丸紅 次世代 +127% / 双日 エネ・ヘルスケア +79% ― 新規・周辺事業の本格寄与シグナル
  • 減速 Worst:セブン&アイ スーパーストア −51.9% ― 企業合算では見えない再編影響をセグメントで初可視化
  • 高営業利益率:マキタ アジア 88.4% / アドバンテスト 50.9% / 東海旅客鉄道 運輸 46.7% ― 寡占・軽資産の高収益事業を発掘

公開サイトで試す

この記事は決算短信のセグメントで、前期比を計算しました。公開サイトでは、有価証券報告書の事業セグメント(約420社・5期以上)を、会社を選んで推移で見られます。記事に出てくる丸紅や双日も選べます。有報ベースなので、記事の数値とは、期や定義が異なる場合があります。

Python コード

本記事のチャート画像・データ取得・成形スクリプトは、すべて GitHub に公開しています。セグメント分析の計算方法(JSONスキーマからの抽出・前期比成長率・加速判定・アクルーアルとのクロス)は、リポジトリの README にまとめています。データは提供元の利用規約により再配布できませんが、データを各自取得すれば、この記事と同じものが再現できます。